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日本遺産ソムリエ・インタビューシリーズ

日本遺産は、地域が復興するチャンス

フォト&ライター

吉岡 陽(Hinata Yoshioka)さん

Profile

兵庫県神戸市生まれ・神戸市在住。 南国に憧れ、沖縄の離島「西表島」と「沖縄本島」に12年間在住した後、2016年に神戸へと帰郷。フォト&ライター業を2014年より開始。
旅行会社など各企業のWebサイトに記事を掲載。
2015年、2016年の地球一周クルーズに乗船した世界旅の物語をクルーズ会社のwebサイト「peace boat deck」にて半年間シリーズ連載。
現在は、神戸市に関するyahoo記事や、「たびこふれ」で旅に関する記事を展開中。

Instagram

「失われつつある地域の文化や伝統を取り戻すきっかけになるかもしれない」。
現在、旅の記事を通じて、地域の文化や伝統を発信している吉岡 陽(Hinata Yoshioka)さん。吉岡さんは、自ら地域の祭りに参加したり、地域の人と触れる中で、魅力ある文化や伝統が失われつつある現状を目の当たりにし、継承していく必要性を強く感じているそうです。そんな中で「日本遺産」と出会い、「みんなが日本遺産を知ることで、継承につながるかもしれない」と話します。この度、日本遺産ソムリエになった吉岡さんの思いを伺いました。

インタビュー:(小林こず恵 / 日本遺産普及協会)

コロナをきっかけに日本の魅力に目を向けるように

小林:吉岡さんは普段、旅の記事を書いていらっしゃるそうですね。

吉岡:普段はライターをしています。最近は神戸市(兵庫県)のyahoo記事を書いたり、 「たびこふれ」というメディアでは、旅先で出会ったその土地ならではの文化や伝統芸能、お祭りなどを見て、感動したらそれを記事にするということもしています。

日本遺産には、文化や伝統、お祭りのストーリーがありますよね。そうした部分で、ビビッとくるものがありました。

小林:以前から、日本遺産はご存知だったのですか。

吉岡:いえ、知りませんでした。「日本遺産検定というのがある」というのを知人から聞いて、「なんだろう」と調べてみたのがきっかけです。それでホームページなどを見ていたら、自分の興味分野と親和性があると感じました。現地で体験することが好きなので、お祭りとかに行ってみたいなと。

小林:そこから、日本遺産検定を受けることになったわけですが、もっと深く知りたい、という思いがあったのでしょうか。

吉岡:元々、旅にかなり興味があったのですが、これまでは海外に意識が向いていました。でもコロナになって「海外に行けない」となった時に、「日本にも目を向けてみよう」と意識が変わったんですね。そんな中での出会いだったので、検定を通じて、より日本を深く知るいいきっかけになるだろうと思いました。

検定を通じて、日本中を旅している気分になれた

小林:これまで日本遺産に触れてこなかった中での受験。受験勉強は大変だったのでは。

吉岡:そうですね。実は国内を旅しているものの、学生時代から地理や歴史が苦手で。都道府県がどこにあるのかすらも危うい(笑)。

なので、マイナスな状態からスタートした感じです。でも勉強していくうちに興味がわいてきて、バーチャル旅ではないですが、旅をしている感覚で覚えていくことができました。

というのも、記号をただ覚えていくとか、興味がないのにひたすら暗記するとかじゃないので。各地域の紹介文(ストーリー)をひとつずつ見ていくうちに、「この地域ってこのあたりにあるんだな」とか、「こういう歴史があるんだ」とか、その地域を旅をしてる気分になれて、だんだん頭に入ってくるようになりましたね。

あとは、覚えたキーワードを、地図上に付箋を貼っていって「この場所ではこんなストーリーがある」みたいに絵で覚えていくようなこともしました。そうすることで、より全体がつながって見えたというか、イメージで入ってくるようになりました。

小林:地図に付箋を貼って覚える。なるほど。それはイメージがわきやすいかもしれませんね。ちなみに勉強期間ってどれくらいだったのですか。

吉岡:7月2日に受けることを決めたので、1週間くらいですね。なんとか大丈夫でしたね。

失われつつある地域の伝統を取り戻す

小林:1週間で! それは初めて受ける人にも勇気になります。今後、日本遺産ソムリエであることが、お仕事やプライベートで何か生かせそうですか。

吉岡:ぜひ仕事には繋げていきたいですね。興味の範囲でももちろん楽しめますが、ちゃんと現地に行って取材をして、実際に見聞きしたストーリーを国内外の人たちに伝えていきたいですね。

たとえば英語ができる人と一緒に組んで海外の方向けに勉強会を開いてみたり、そうやって誰かとタッグを組んで活動するなどもしていけたらいいなって思います。

それから、現地の人と一緒に活動することにも興味があります。各地域の大切なストーリーを一緒に未来へつないでいくというか。

小林:素晴らしい考えですね。

吉岡:やっぱり日本の大切な文化や伝統をしっかり伝えていかなければいけない、ということを、これまで取材する中で感じていました。

たとえば、お祭りの継承が難しいというような現状を現地の方から伺っていました。それをなんとかしようと、地域のみなさんが本当に苦労しながら頑張っていらっしゃる。「どうやったら続けられるのか」というのを模索しているわけです。

みんながそうした現状を知り、みんなで解決していく。日本遺産がそうしたきっかけになるのではと思いますね。

小林:日本遺産を通じて、みんなが地域に関心を持つようになるので、ということですね。

吉岡:はい。先日、観光に関するとある勉強会に行ったんですが、やっぱりその土地にあるものを紹介するときに、その裏にあるストーリーからしっかり伝える必要があるということをみなさんがおっしゃっていて。本当にその通りだなと思いました。

なので、まずは観光業や旅や地域に関する仕事の人が日本遺産を学ぶと良いと思いますし、それだけじゃなくて、その地域で暮らす人や日本の文化・伝統を伝えたいという人も、学ぶことでより深みのある発信ができるようになるのではと思います。

小林:私も日本遺産の学びを深める中で、「案外日本のこと知らないんだ」って、気づきが多いです。

吉岡:そうなんですよね。私も今回、知らないことがすごくいっぱいあったので、日本を知る良いきっかけになりました。なので、検定に受かる受からないが重要ではなくて、興味をもって学び深めること自体が、とても重要なのかなって思いますね。

あと、これはリクエストなんですが、なくなってしまったものに対する記憶を残すこともとても重要なのですが、「今あるものをどうやってなくさずに継続できるか」、日本遺産においても、そういう部分にクローズアップした仕組みがあると良いなと思いました。特に地域の伝統のお祭りなどは、その地域の生き方やアイデンティティを深く知るきっかけになります。

地域の深い部分に触れることで、観光にとどまらず移住などにもつながるかもしれませんし、そこからお祭りの継続に向かうのではないかと思いました。 そうなることで、日本遺産を活用しようとする人が各地で増え、更におおきな役割を果たして行ける存在となるのではないでしょうか。

小林:思い溢れるメッセージ、ありがとうございました!

【吉岡さんの活動情報】

吉岡さんが執筆した「たびこふれ」の記事ページ

https://tabicoffret.com/writer/880/

辺境の地で、神様のために一晩中舞われる「夜神楽」の物語

https://tabicoffret.com/article/80802/